大判例

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東京高等裁判所 昭和37年(ネ)1598号 判決

一旦仮処分命令の適法な執行があつた後、右仮処分命令についての異議訴訟において右仮処分命令を取消す旨の仮執行宣言付判決があり、その執行として右仮処分執行が取消されたが、その後控訴審において右第一審判決を取消し右仮処分命令を認可する旨の裁判があつた場合、仮処分債権者は改めて右仮処分命令の執行をしなければならないことは控訴人等主張のとおりである。

然しながらこの場合における仮処分の再執行については民事訴訟法第七四九条第二項(第七五六条)の規定の適用はなく、右再執行を右控訴審裁判の言渡時より必ず右法条所定の期間内になさなければならないものではないと解すべきである。蓋し、右のような場合仮処分債権者は当初において右執行期間を遵守して適法に仮処分の執行を了したものであり、その後右仮処分執行が取消されたといつてもそれは未確定な第一審判決の仮執行としてなされたものであつて、右第一審判決を取消し右仮処分命令を認可した終局的な立場から見れば右仮処分執行は本来取消されるべきでなかつたのに不当に取消されたということに帰着するのである。従つてかような場合の仮処分の再執行は実質的には一旦適法になされた当初の仮処分執行の続行であると見て、これについては執行の著手期間の制限に関する規定である前記法条の適用はないものとするのが相当であると考えられるからである。(もつとも右控訴審判決後例えば数箇月間も右仮処分の再執行がなされず、その間に右仮処分命令を認可した当時の事情に著しい変更を生じたとか或いは仮処分債権者において右仮処分命令を執行する意思を放棄したものとみうるような場合には、それを理由として右仮処分命令の取消を求めうることは勿論である。)。

(板垣 元岡 渡部)

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